普遍的でありながら独創的。日本風でありながら北欧風。そんな不思議な魅力をもつHirata Gen Collectionのプロダクトをデザインするのは、デンマーク人デザイナー ラース・ヴァイェン氏と、日本人デザイナー 石河泰治朗氏による新進気鋭のデザインユニット「studioA27」。
日本とデンマークという異なる国のデザイナーが、ひとつひとつのプロダクトを共同でデザインすることで、それぞれの国のエッセンスが融合した唯一無二の家具が生まれた。そしてやはり目を引くのは、一切の無駄を削ぎ落したミニマルな造形だ。
「Hirata Gen Collectionの家具をデザインする時に私たちが強く意識したのは『デザインとしても無垢な家具をつくること』です。過剰なデザインを意識的に抑え、長く飽きずに使い続けられる、普遍的な美を持った家具を目指しました」(石河氏・ラース氏)
パッと見の刺激を意図的に抑制しているため、Hirata Gen Collectionの家具は決して”わかりやすい家具”ではない。そのため、初めて見る人は”普通の家具”という印象を持つかもしれない。しかしよく見ると、むしろ尖った個性を持っていることに気付くだろう。シンプルと個性の絶妙なバランス。これが他のブランドとは一線を画す、Hirata Gen Collectionの不思議な魅力の秘密だ。
シンプルなのはデザインだけではない。使われている素材もまたシンプルだ。
プラスチックなどの石油系原料を使って大量生産された家具を使い捨てていく、そんな現代社会に大きな疑問を感じたラース氏と石河氏は、ブランドコンセプトに「サスティナブル」を掲げ、無垢材、無着色のウール、綿の帆布生地、天然のなめし革といった自然素材を使用した家具づくりをおこなった。
「ブランド名の玄は、デンマーク語でGENE(遺伝子)、日本語で「根源」を意味します。家具というモノを一度リセットして原点に帰り、フェイクではない本物の素材を使った本物の家具をつくりたい。そんな想いが込められています」(石河氏・ラース氏)
Hirata Gen Collectionの家具がやさしく見えるのは、そして手で触れた時に気持ちがいいと感じるのは、人間の潜在意識にある自然への安心感や喜びだろう。自然から与えられた資源でつくられた家具は、またいつの日か自然に還ることができる。「そういうモノを選ぶのが、当たり前の世の中になって欲しい。それがHirata Gen Collectionを通して伝えたいメッセージです」(石河氏・ラース氏)
ラース・ヴァイェン
1971年生まれ。北欧の大手建築会社に18年所属した後に独立。2014年にデザイン事務所「Design Studio Lars Vejen」を創設し、デンマークを拠点に活動している。家具をはじめ、ジュエリー、テキスタイル、インテリアなど、幅広いジャンルのデザインを手掛ける。また業界を越えた企業との共同プロジェクトも多数行っている。京都に別宅兼スタジオを構えるほどの日本好き。
石河 泰治朗
京都工芸繊維大学大学院デザイン学専攻卒。より実践的なデザインを学ぶため単身北欧へ。デンマークのデザイン事務所 Design Studio Lars Vejen に入りラース氏と出会う。その後、京都へと戻り、Taijiro Ishiko Designとして独立。家具を中心に国内外のブランドへ向けたプロダクトデザインを行う。素材の魅力を引き出すプロダクトデザインを得意としている。
静かな佇まい。
見れば見るほど、触れれば触れるほど、
その造形の美しさにゆっくりと惹きこまれていく。
Hirata Gen Collectionのプロジェクトは、平田椅子製作所の代表・平田尚二氏のもとに届いた、一通のメールからはじまった。
「平田椅子独自のオリジナルブランドを持ちたいと考えていた時、石河さんたちから家具のデザインをさせて欲しいというメールが届いたんです。日本人とデンマーク人のユニットなんて珍しいし、彼らは優れたアイデアも持っていました。タイミングとしても運命的なものを感じ、一緒にブランドをつくらないか?という話をしました」(平田氏)
「椅子づくりは難しいが、だからこそ面白い」と話す平田氏
「平田椅子製作所さんのつくる家具は非常にクオリティが高く、海外のデザイナーと積極的にコラボレーションするなど感度も高い。我々デザイナーからすると最高の家具メーカーです。そんな平田椅子さんから『一緒にブランドをつくろう』と言われ、非常に興奮しました」(石河氏・ラース氏)
歴史ある椅子専門メーカーとして高い技術力を誇る平田椅子製作所の職人たちと、日本人&デンマーク人による新進気鋭のデザインユニット。必然の出会いを果たした彼らによる、新しい家具づくりがこうしてはじまった。
Hirata Gen Collectionの家具は熟練の家具職人によってひとつひとつ丁寧に、見えない部分にまでこだわってつくられており、工芸品としての美しさはもちろん、日常的に使用するうえでの強度も兼ね備えている。
「まずは我々デザイナーの理想形をぶつけ、職人さんとお互いに意見を出し合い、時間をかけてカタチにしていきました。我々がこだわりたいディテールも、職人さんたちは高い技術力で丁寧に応えてくれました。平田椅子さんの技術力が無ければ製品化することはできなかったと思います」(石河氏・ラース氏)
デザインは初案から少しづつカタチを変えていき、いまの完成形に辿り着いた。平田氏は「一方通行ではなく、デザイナーと職人とがしっかり協議してブラッシュアップしていったおかげで、意匠面も機能面も完成度の高い製品ができた」と語る。第1弾のラインナップが完成するまで、実に2年もの歳月を費やした。
佐賀大学医学部と共に椅子の座り心地を研究するほど、使い心地にはこだわりを持つ。「椅子はやはりオーダーメイドが一番いいんです。だから既製品でいかにオーダーの領域に近づけるか、そこを私たちは追求しています」(平田氏)
2021年、デンマークで開催されたデザインイベント「3daysofdesign」への出展というカタチでヨーロッパデビュー。多くの来場者を集め、確かな手応えを得た。「北欧の人々は日本文化に強い興味を持っていて、ものづくりの面でもリスペクトしてくれています。Hirata Gen Collectionの家具も彼らから高く評価してもらい、自分たちがやってきたことは間違いではなかったと自信になりました」(平田氏)
「ぼくたちの想いに共感してくれる人のもとへ、Hirata Gen Collectionの家具が届いて欲しいですね。そしていつか『この椅子はおじいちゃんが昔使っていた椅子なんだ』という風に、時代を超えて受け継がれていけばとても嬉しいです」(石河氏・ラース氏)
良いモノを永く大切に使いたい。そう考える人が増えている今、本物の素材を使い、静かな美しさをたたえたHirata Gen Collectionの家具が、これからの家具のスタンダードになっていくのかもしれない。
Hirata Gen Collection
101,200~121,000円
Hirata Gen Collection
117,700~137,500円
Hirata Gen Collection
64,900円
Hirata Gen Collection
45,100~118,800円
Hirata Gen Collection
314,600~465,300円
Hirata Gen Collection
413,600~678,700円
Hirata Gen Collection
347,600~530,200円
Hirata Gen Collection
451,000~755,700円
Hirata Gen Collection
369,600~552,200円
Hirata Gen Collection
473,000~777,700円
Hirata Gen Collection
305,800~605,000円
Hirata Gen Collection
278,300円
Hirata Gen Collection
350,900円